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電動シャッターが止まらないときの原因と対処方法を解説
- シャッター修理の豆知識
- 更新日:2022/01/08
電動シャッターの故障でよくあるのが「シャッターが停止ボタンを押しても止まらない」「シャッターが地面についても下がり続けてしまう」という症状です。これらの症状はシャッターが正常な位置で止まらないという共通点があり、いくつか原因が考えられます。その時の原因と対処方法を簡単にまとめました。
目次
原因1.リミットスイッチの異常
リミットスイッチは、シャッターの上限と下限を検知し、制御装置に信号を送るスイッチで、重量シャッターの場合開閉器の上部、軽量シャッターでは制御盤に内蔵されています。このリミットスイッチによって、シャッターを上限や下限で自動的に停止させるという役割があり、スラットがシャッターケース内に入ることを防ぐことや、シャッターに無理な力が加わることを防ぐことができます。
上限リミットを設定することで、シャッターを全開にした際に自動的に止まるように設定することができます。
下限リミットを設定することで、シャッターを全て閉じた位置(地面に到達するポイント)に達した際に、自動的に止まるように設定することができます。
電動シャッターにはシャッターの停止位置を設定するリミットスイッチという部品が存在します。シャッターの停止位置がズレる原因のほとんどがこのリミットスイッチのズレが原因です。通常簡単な調整ですみます。修理費用は調整だと2万円前後、リミットスイッチの交換となると5万円程度になります。
原因2.リミットスイッチの障害物検知異常
リミットスイッチの障害物検知に異常をきたした場合、リミット設定が下限になっていても障害物検知が検知されずに、ずっとシャッターを下へ降ろそうとする力をかけ続けます。そうすると、シャッターは下限を認識できなくなってしまい狂ってしまいます。
この状態は、人や物がシャッターに挟まれたとしても、停止することなく延々にシャッターが降り続けるという危険な状態です。
リミットスイッチの設定について
一般的にリミットスイッチはシャッターの業者や作業員ではなくとも操作することができます。リミットスイッチのある位置は主に軽量シャッターの場合にはシャッター上部にあるため、案勢帯、ヘルメットなどを装着し、十分なスペースを確保し安全に作業するようにしてください。
シャッターのリミットスイッチの上限リミットスイッチ、下限リミットスイッチが格納されているサイドカバーなどを設定します。
サイドカバーを、工具を使って外し、リミットスイッチのストッパーを外すことでリミットスイッチを押せる状態にします。
セットボタンをフリーの状態にし、位置の設定を行いましょう。上限位置の設定では、シャッターを上限位置まで上昇させておきます。この時に、巻き取りボックスから10cm程度見える位置でストップさせると丁度良いです。
下限位置も同じようにシャッターを下限位置まで下降させ、この時にシャッター底面と床まで5cm程度の隙間をあけて設定すると、床とピッタリの位置で停止します。
リミットスイッチを設定する際には、シャッターがシートを巻き取りすぎないように注意し、シャッターが動作している間にはセットボタンに触れないようにしてください。
最後にストッパーをセットし、サイドカバーを工具で取り付けることができれば完了です。
細かい操作や設定に関しては説明書などに詳しく記載されているはずなので確認するようにしましょう。
原因3.モーターのブレーキ機構が摩耗している
リミットスイッチが原因ではなく、手動解放のレバーを引いてもおりてくるという場合にはブレーキ機構が摩耗による劣化で故障している可能性があります。
電動シャッターのブレーキ装置は、シャッターの開閉時にブレーキ装置への一定の負荷がかかってしまい、完全に故障してしまうと停止位置でも止まらずに下降し続けることや、シャッターを上昇させても下降してしまうという現象が起きてしまいます。
故障の原因には、モーター機構の軸に取り付けられていた摩擦板が割れるなどが挙げられます。
モーターのブレーキの機械を一定の範囲に保持するためのガバナが老朽化し、停止位置でも止まりきらず下降してしまう状態です。厳密には違いますが自動車のブレーキパッドが摩耗している状態を想像して貰えればと思います。全開状態からブレーキが効かずにシャッターが降りてきたら大変危険ですのでこの場合はシャッターを降ろしたまま人が近づかないように注意してください。モーターにはブレーキが取り外せるタイプとそうでないタイプがあり、取り外せる場合はブレーキの交換で5万円程度、モーター全交換で10万円程度が相場でしょうか。
具体的にはブレーキユニットと配電盤の交換をすると良いでしょう。ブレーキを交換することでブレーキ機能が復帰します。
モーターに関してはV(ボルト)数を上げることで、回転が止まらなくなることなどの不具合を防ぐことができます。
原因4.制御盤に不具合がみられる
シャッターには逆走防止リレーや、動作回路、操作回路を制御するマグネットスイッチを収めた制御盤というものがあります。このマグネットスイッチの役割により、ボタンを押すと電流が流れて動作が動く、ボタンを押すと停止する、ということを伝えます。
電動シャッターの制御盤内のリレーマグネットの動作不良によって停止信号がうまく伝達していないケースがあります。制御盤の不具合は修理が非常に困難なため基本は交換対応となります。この場合、機種によって異なりますが費用は大体10万前後は見ておきましょう。
原因5.エマーゼンスイッチが作動している
エマーゼンスイッチとは電動シャッターの巻き込み事故を防ぐためのもので、非常停止装置とも呼ばれています。シャッターケース内のたるみや巻き上げすぎたシャッターケース内で余計に膨らんだスラットに触れてシャッターを停止するスイッチです。これがあることで大きな事故などを防いでくれるものですが、一般的にはシャッターは全開・全閉するように設定されていますが、何らかの理由でエマーゼンスイッチが誤作動を起こし、シャッターが止まらないという原因になっている場合があります。
この時、スラットに触れているエマーゼンスイッチを離すことによってシャッターは復帰し、通常の動作に戻ることができます。また、エマーゼンスイッチの故障によって、シャッターが下がらないという場合もあるため、注意するようにしましょう。
お手数ですが、エマーゼンスイッチの価格に関しては、メーカーにお見積り・お問合せをお願いいたします。
【対処方法】基本的にシャッター修理業者対応!シャッターに近づかないようにしましょう
シャッターが止まらない時、前述の通りモーターのブレーキが効きづらくなっている場合があります。そのため急にシャッターが一気に降りてくる危険から人が近づかないように注意してください。ただそのほとんどがリミットスイッチの不具合となるのでシャッター修理業者に連絡して点検修理を依頼しましょう。モーター交換、制御盤交換となると少々金額が大きくなるので余裕があれば複数業者に相見積もりを取ると良いと思います。
電動シャッターが下がらない!修理費用はどのくらい?
原因や対処方法によって変わります。家庭用の電動車庫シャッターを想定し、ざっくりまとめると下記になります。
- リミットスイッチの調整・・・10,000円~15,000円
- リミットスイッチの交換・・・30,000円~50,000円
- エマーゼンスイッチの交換・・・30,000円~
- モーター交換・・・70,000円~100,000円
- 制御盤の交換・・・80,000円~
シャッター工事の費用相場について下記にまとめましたのでこちらも参考にしてください。
まとめ
電動シャッターが止まらないときの原因と対処方法を簡単にまとめました。基本的に自分で修理することが難しい症状ですのでシャッターの使用をやめて、シャッター修理業者に相談しましょう。
鹿島 創一
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