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【図解】シャッターの構造と各部位の機能|故障原因や対処方法も紹介
- シャッター修理の豆知識
- 更新日:2024/07/23
シャッターの故障状況を伝える場合などには、構造を理解したうえで各部品の名称を正確に説明することが求められるケースがあります。しかし、シャッターを構成する部品・部位には専門的な用語が多いため、スムーズに伝えられないことも多いでしょう。シャッターを日常的に使うのなら、各部位の機能や名称を事前に確認しておくのが重要です。
ここでは一般的な手動シャッターと電動シャッターを例として、シャッターを構成する部品の名称とその役割を簡単に説明します。よくある故障原因についても言及するので、シャッターを利用する際にはぜひ参考にしてください。
目次
手動シャッターの構造と各部位の機能
手動シャッターの構造は、以下の図のような形になっています。
各部位にはそれぞれ役割があり、どれもがシャッターとして機能するために必要なパーツとなっています。各部位ごとの特徴や役割を理解することで、故障の原因を特定したり、修理依頼をするときに話をスムーズに進められたりするでしょう。以下では、手動シャッターの構造と各部位の名称・特徴について解説します。
スラット
スラットとは、長方形の部材が蛇腹状に連結しているものです。シャッターの開口部のドアの役割をもっており、シャッターケースにコンパクトに収めるために蛇腹状の構造をしています。シャッターの顔とも言える部位であり、スラットを適切に管理するのが使用時の基本です。
一般的にスラットは上記の図のように中柱によって分割されていますが、連結されたスラットもあり、その場合にはシャッターカーテンとも呼ばれます。スラットは外気に一番さらされるので、腐食しやすい部分です。そのためスチール、アルミ、ステンレスなど、設置場所の環境によっていろいろな素材が使用されています。
現在はスチールのコーティングがよく使用されているため、沿岸等腐食しやすい環境でなければ、スチールで問題ないでしょう。一方で、デザイン性や高級感を求める場合には、アルミやステンレスを選ぶケースも多いです。しかし、スチールと比較して導入時の価格が1.5倍〜3倍になるため、慎重な検討が必要になるでしょう。
吊元
スラットの一番上の部分は、吊元と呼ばれます。この吊元とスプリングシャフトを固定することで、スラットにバネの力を伝えられます。 経年劣化等によって吊元の形が変わってしまったり、突発的に外れたりすると、スラットがシャフトから外れて開閉が不可能となるでしょう。スラットが落下する恐れもあるため、事故の原因となるケースも懸念されます。
安全にシャッターを使い続けるためにも、吊元のチェックはこまめに行っておきましょう。
水切り(座板)
シャッターにおける水切りとは、スラットの一番下についている部位を指します。水切りという名前ですが、雨樋のようには水を切る機能はありません。スラットの下部は水やほこりがたまりやすい部分ですので、特別に腐食しにくい、もしくは腐食しても容易に交換出来るように水切りを用いています。
長い年月が経過すればシャッターの各部位がサビて腐ってしまいますが。水切りを交換することで、他の部分のもらいサビが少なくなって耐久性がアップします。
ガイドレール
ガイドレールとは、シャッターの左右に設置されている部品です。ガイドレールにスラットを挟み込むようにすることで、開閉の際にスムーズに動かせるように設計されています。ガイドレールの溝を通ってスラットが動くため、ゴミなどが溜まらないように注意が必要です。
また、サビなどを放置しているとスラットの動きが悪くなり、シャッターとして使いづらくなる可能性もあります。他の部位と同様に、こまめな確認と清掃が必要なパーツになります。
中柱
シャッターの中柱とは、スラットを連結させるためのパーツです。広い窓口をシャッターで塞ぐ場合、1枚のスラットでは長さが足りないケースがあります。そういった場合には中柱を利用し、2枚以上のスラットを連結させて使用することが検討されます。中柱は取り外しが可能であり、シャッターを上げている間は外して保管しておきます。
シャッターを閉める際に改めて中柱を設置し、連結させる方法で使用します。
スプリングシャフト
スプリングシャフトとは、手動シャッターの動力部を指します。数十キロあるスラットを、バネの力で巻き取る機能を持ちます。このスプリングとスラットの取り付け位置によって、手動シャッターを上げる時の重さが変わってきます。シャッターの動きが重くなった場合、サビやスラットの歪みによるズレも影響しますが、一番の原因はスプリングの緩みです。
スプリングシャフトはバネで出来ているので、どうしても時間が経つと緩んでしまいます。そのため定期的にスプリングとスラットの位置を調整し、緩みを直す必要があります。毎日使っていると分からないものなのですが、スプリングシャフトは5年もすると新設時と比較して、非常に重くなっています。
オイルアップや清掃でシャッターの開閉の重さが変わらなければ、スプリングシャフトを点検してもらうためにシャッター業者に相談しましょう。シャッターケース内の作業は危険なので、専門業者に依頼するのが基本です。
シャッターケース
シャッターケースには、外から見える「露出納まり」と、天井に組み込まれている「天井納まり」の2パターンが存在します。見栄えは天井納まりの方がすっきりしますが、メンテナンス製は圧倒的に露出納まりが優勢となります。そのため店舗の入り口でどうしてもシャッターケースを隠したいというとき以外は、「露出納まり」の導入をおすすめします。
例えばシャッターの上げ下げが重く、スプリングシャフトの調整を行いたいときも、天井納まりの場合には天井に穴をあける工事が必要となるので、費用面でも割高となります。
プーリー
プーリーとは、シャフトの両脇に取り付けられた円盤状のパーツを指します。プーリーの種類によっては、シャフトの両脇と中央に設置するケースもあります。プーリーには滑車の役割があり、シャッターの開閉をスムーズにする効果があります。また、シャッターを動かす際にかかる負荷を軽減する点も特徴です。
プーリーは、吊元に固定して使用します。きちんと設置されていないと、シャッターの開閉が上手くいかなくなる可能性があります。
軸受
軸受とは、シャッターの軸を支えるための部品です。全体を支える重要な部品であるため、破損等が起きるとシャフトとスラットが落下する危険があります。シャッターケースの両脇にある、ブラケットの中に設置されています。
ラッチ
ラッチとは、シャッターを完全に閉じた状態で保持するためのロック機能を持つ部位です。一般的にシャッターの両脇、もしくは片側一方に取り付けて使用されます。シャッターを確実に固定して安全性を高めるほか、防犯のためにも使用されるパーツとなっています。
ラッチの不具合によってシャッターがロックされていないと、侵入などのトラブルを招く可能性もあるでしょう。
内外錠
内外錠その名の通り、シャッターのロック機能を担う鍵部分です。シャッターの鍵が中途半端に回してある状態を「鍵の半掛かり」と呼び、シャッターがスムーズに動かない原因の一つとなっています。シャッターの動きが悪いと感じたら、まずは鍵がしっかり開いているか確認しましょう。
シャッターを長年使用していると、鍵が回りにくくなってきます。多くの場合、鍵穴に注油することで鍵の回りは改善されます。しかし、注油する際にガイドレールのメンテナンスに使用するシリコンスプレーの利用は避けましょう。シリコンスプレーは粘性が高く、鍵穴にゴミを付着させて詰まりの原因になってしまいます。
鍵穴の注油には専用の製品があるので、そちらを使うことを心がけてください。応急処置が必要な際には、鉛筆(黒鉛)も潤滑剤として機能するのでお試しください。
電動シャッターの構造と各部位の機能
電動シャッターの構造は、以下の図で確認できます。
手動シャッターと同様の部品もありますが、電動シャッターならではのパーツも多数あります。それぞれの部品の特徴をチェックし、問題がないことを常に確認できるようにするのがポイントです。以下では、電動シャッターの構造と各部位の特徴を解説します。
開閉器(モーター)
開閉器(モーター)は、電動シャッターの心臓部にあたります。開閉器(モーター)の動力を使って、スラットの開閉を行います。スラットを上げ下げする頻度にもよりますが、10年以上使っていると不具合が出始め、問題となることが多いです。元々の品質が悪いなど、運が悪い場合には、10年以内での故障も考えられます。
開閉器(モーター)の故障内容としては、「コントローラー不良」「ヒューズの溶断」「保護回路が動作している」「コイルの断線」など、多くの原因が考えられます。いずれの故障の際にも、基本的に専門の業者に修理依頼を行います。全交換が必要なのか、部分的な交換で済むのかを確認するためにも、シャッター修理業者もしくはメーカーに相談しましょう。
リミットスイッチ
リミットスイッチとは、シャッターの上限や下限を設定しているパーツです。「シャッターが最後まで下がらない(途中で止まってしまう)」「シャッターが下がっても動作が止まらずたるんでしまう」という場合には、リミットスイッチに不具合が発生している可能性があります。
問題解決時には簡単な調整だけで済むケースもありますが、多くの場合にはリミットスイッチの交換が必要になります。
ローラーチェーン
ローラーチェーンとは、モーターの動力を巻き取りシャフトに伝える部位です。ローラーチェーンが正常に動いていれば、モーターとシャフトがきちんと連携してシャッターの開閉が適切に行われます。モーターの動作音がするのにシャッターの上げ下げが出来ない場合、ローラーチェーンが摩耗して切れている可能性が高いです。
経年劣化などで破損することもあるため、定期的な点検で事前に交換するのがポイントです。
軸受けブラケット
軸受けブラケットとは、シャッターケースを支えるための部位です。主にケースの両脇に設置されているパネルの部分を、軸受けブラケットと呼びます。シャッターのスラットと軸受けブラケットは、非常に近い場所に設置されています。そのためスラットが傾いたまま使用すると、軸受けブラケットに接触して動かなくなったり、故障の原因になったりします。
巻取りシャフト
巻取りシャフトとは、シャッターを巻き取るための軸を指します。スプリングの中央に差し込まれる形で設置され、プーリーを回転させて吊元を引っ張り、シャッタースラットを巻き取ります。
障害物検知装置
障害物検知装置とは、電動シャッターの安全装置の役割を持ちます。スラットがなにかを挟んだ場合、自動的にシャッターの下降が止まるようになっています。こちらの機構にはセンサーが使われていて、その受光部の電源が乾電池で賄われています。電動シャッターが上がるのに下がらない状態のときは、この電池が切れている可能性が高いです。
メーカーは1日2回の開閉で、1年毎の電池交換を推奨しています。年に1回程度の交換を目安にして、障害物検知装置をきちんと使えるように備えましょう。
まぐさ
まぐさとは、ブラケットの下部分に設置されているパーツです。シャッターのスラットが通る場所であり、シャッターケースの形を崩さずに使用するために活躍します。シャッターボックス側についている場合には外まぐさ、内側についている場合には内まぐさと呼称されます。
シャッター構造から知る故障原因と対処方法
シャッターの構造を知ることで、どのような故障原因があるのか、どんな対処法が考えられるのかが分かるようになるでしょう。例えば、以下のような症状ごとに故障原因と対処方法があります。
- 手動シャッターが重い
- 手動シャッターが動かない
- ガタガタとシャッターボックスから異音がする
- 電動シャッターが下がらない
以下では、それぞれの症状毎の故障原因と対処方法について解説します。
手動シャッターが重い
手動シャッターが重い場合、スプリングシャフトのバネの反発力が弱まっていることが主な原因です。ほとんどの場合、1回はスプリングの巻き直しで改善します。しかし、2回目以降はスプリングを巻く余裕がなく、劣化も進んでいるので基本的に交換をおすすめします。
ガイドレールにグリスアップをする方法もありますが、スプリングの寿命を延ばすことが出来ても、重くなったシャッターの改善は出来ません。一方で、サビでシャッターが上げずらいという症状の改善は見込めます。
手動シャッターが動かない
手動シャッターが動かない場合、鍵が半掛かりのまま上げ下げしようとしている可能性があります。鍵穴が見える場合は、鍵を差し込み直してしっかりロックが外れているか確認しましょう。鍵穴がシャッターケースの中に入っている場合は、シャッター業者に連絡して対応してもらう必要があります。
ガタガタとシャッターボックスから異音がする
ガタガタとシャッターボックスから異音がする場合mチェーン切れかけていたり、スラットがボックス内で干渉していたりといった原因が考えられます。複数の問題が同時に発生している可能性もあるため、まずは異音の原因を突き止めるのが重要です。
多くの場合シャッターボックスの中の昇降機構に問題が生じているため、シャッターの使用を一度中止して、メーカーかシャッターの修理業者に相談しましょう。
電動シャッターが下がらない
上記でも簡単に説明しましたが、電動シャッターが下がらない場合には、障害物検知装置の電池が切れている可能性が高いです。前回の電池交換から時間が経っている場合、電池切れを疑うのが最初のステップになるでしょう。シャッターのマニュアルや各種記事を参考にして、障害物検知装置の電池交換を試してみてください。
シャッターが壊れた時の修理費用
シャッターに不具合が出て業者に修理を依頼するばい、平均して5万円程度の修理費用が発生します。もちろん、シャッターの故障部位や修理内容によって費用は変わるため、一概に5万円で済むとは言い切れません。長期間使用しているシャッターの場合、さまざまな部位にガタが来ていて、複数箇所の修理・交換が必要な場合も考えられます。
まとめての修理・交換となると、費用も高くなるでしょう。まずはシャッターの修理業者に無料の見積りを依頼し、費用の目安を確認しておくのがおすすめです。
シャッターの修理費用にかかるおおよその目安は、下記にまとめました。
シャッターの構造を理解して、不具合にも冷静に対処しよう
シャッターを使用していると、様々なトラブルに見舞われる可能性があります。突然シャッターが動かなくなった場合、無理に動かして余計に症状を悪化させる恐れもあるでしょう。あらかじめシャッターの構造を把握し、トラブルの事例と対処法を理解しておけば、万が一の故障にも冷静に対応できます。
日常的に使用するシャッターだからこそ、各部位の名称や役割をきちんと確認し、突然のトラブルに備えるのがポイントです。まずは本記事を参考に、シャッターの構造を図で確認して、各部位の特徴や故障の原因になり得る要素を把握しておきましょう。
鹿島 創一
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